それは長い手続きだった。初め、パーシカは母親に連れられて夜明けまで歩き通した。
その後二時間ほど壁に立ち尽くして、戸の開くのを待っていた。
閂の外れる音がして戸が開いたので、母親と一緒に待合室に入った。
長いこと待たされる。他の患者たちは身じろきもしないで黙りこくっている。眺めていると、奇妙な人やおかしな人がたくさんいるが……
医者でもあったチェーホフの「病院」がテーマの小説を舞台化。テキストと身体とが激しく交錯する「病気という手続き」の物語。
「死」はどこにあるのか。「病気」は、だれの過失なのか。