カトリエという名の女がいる。
カトリエは固定局用無線機のある家に住み、アマチュア無線を趣味としている。
香炉という男が彼女の「犬」として契約し同居している。 彼は心臓に病気があり一日一回薬を飲まなければ生きていけない。カトリエの家の近くには永遠という名の女が暮らしている。カトリエとは高校のときからの幼なじみだ。
彼女はカトリエの言うことなら何でも聞く。「詩子のこと」があるからだ。
さて、今日もカトリエの無線がとある電波を傍受した。
それは彼女が最も愛する夕日という名の男、彼の電話の音声だ。 カトリエは耳を澄ましている。笑っている。しあわせなのか。私には分からない。そして私の隣には女性がいる。名前は「詩子」── 彼女には「悪意」があった。
第十一回公演は獣の仕業の新境地。