「李雨」という女が殺された。
李雨の弟の「秋鹿」は喪主の挨拶でバスの中で見た犬の話を繰り返し喋っている。
李雨を殺した秋鹿のピアノ講師である「知花」は取調室で李雨自身から殺人の動機について尋ねて欲しいと懇願している。
李雨のかつての恋人であった「白草」は李雨の留守電へ向かって、自分が作った曲の説明をしている。
李雨という女が死んでも、彼らのお喋りは止まることがない。
李雨は鬱陶しそうに立ち上がり、彼らの胸ぐらを掴んで怒鳴り散らした。
「私はもう人間じゃないんだ。つまりは電柱だ、冷水器だ、フルートだ。
だからあなたたち、もういい加減私に向かって喋るのをやめたらどうです」
獣の仕業「超過剰」総結集。